契約時(売買編)
いよいよ契約。契約の時に注意しなくてはならないことは?
  • 契約書の内容をしっかり確認しましょう。
宅建業者は売買等の契約が成立したときは、その契約の相手方等(買主など)に一定の契約内容を記載した書面(以下 契約書 実務上は売買契約書をもって替えることがほとんどです)の交付を義務付けられています。 記載しなくてはいけない内容としては、当事者の氏名及び住所、物件の所在地・地番・種類・構造など、物件を特定するために必要な表示、代金又は交換差金の額並びにその支払いの時期及び方法、物件の引渡し時期、移転登記申請の時期などがあります。 重要事項説明と同様に契約書に記載している事項はどれも大切ですからしっかり確認をしなくてはなりません。なお、重要事項説明と異なり宅建業者は契約書の交付義務はありますが、内容の説明義務までは課せられてはいませんので、分からないことは放置せずに自ら積極的に確認しましょう。
購入を予定している物件に抵当権が設定されているけど大丈夫?
  • 抵当権を抹消できるかがポイントです。
一般的に不動産を購入する際は、銀行の住宅ローンなどを利用する場合が多く、その担保として不動産に抵当権を設定します。 中古物件の売買の場合、購入時に設定した抵当権が残っていることはそんなに珍しいことではありませんので、抵当権が設定されているからといって必要以上に心配することはありません。 一般的な契約書には売主は物件に設定している抵当権を引き渡しまでに抹消し、買主が完全な状態(抵当権などの余計な権利がない状態)で物件を所有できる状態しなくてはならないとしています。実務上では売買代金をもって抵当権を抹消することが多いようです。売買代金が抵当権の額を上回っていればいいのですが、問題なのは売買代金だけでは抵当権を抹消できない(抵当権の額が売買代金を上回っている)場合です。その場合、抵当権者(お金を貸している側)が抵当権の抹消に応じるかどうか確認が必要になります。応じない場合は抵当権が抹消されない可能性がありますので、抵当権を抹消する方法が不明確な場合は契約を見直したほうがいいかもしれません。 いずれにしても、抵当権が抹消されないと物件を競売にかけられ、所有権を失うこともありますので、抵当権が設定されている物件を購入する際には、契約の前に抵当権を抹消できるのか注意して確認しましょう。なお、抵当権のほかにも地上権や賃借権などの権利が付いていると様々な制約を受けることになりますので、重要事項説明書や登記簿をよくチェックしてください。
住宅ローンを利用しますが、ローンを受けられなかった場合でも代金の支払義務はありますか?
  • ローン特約があれば契約は解除されます。
不動産の購入に住宅ローンを利用する場合、ローンが成立することを前提に売買契約をすることになりますが、ローンが成立するかどうかは申込みをしてみないことには分かりません。もし、ローンが成立しなくても売買契約をしている以上、買主には代金の支払い義務がありますが、それでは買主が非常に重い負担を背負うことになります。このような買主を保護する特約がローン特約です。ローン特約とは「ローンが成立しなかったときは、ペナルティーなしに契約を解除できる」という特約で、解除条件型と解除権留保型があります。 解除条件型では「ローンが成立しなかったとき、契約は自動的に解除される」に対し、解除権留保型では「ローンが成立しなかったとき、買主が契約解除の意思表示をして解除される」という違いがあります。要するに解除権留保型では買主が契約解除の意思表示をしない限り契約は有効だということです。 また、ローン特約では解除期限を設定するのが一般的ですが、解除権留保型の場合、解除期限を経過してから意思表示をしても無効となりますので注意が必要です。なお、ローン特約は特約を結んでおかないと適用されませんが、ローン特約があるからといってローンが成立しなかったとき、必ず契約解除になるわけではありません。 例えば、契約後に他に気に入った物件があったので、買主がローンの申込み手続きをしなかったなど、故意にローンが成立しないようにした場合は、ローン特約は適用しないとする契約が一般的です。
契約書に「現状有姿で引き渡す」とありますが、現状有姿ってどういう意味ですが?
  • 現状の状態で手を加えずに引き渡すという意味で使われることが一般的ですが・・・。
「現状有姿」という言葉は法律用語ではないため、売主と買主の解釈の相違によってトラブルになることがしばしばあります。例えば、買主が物件の引渡しを受けて数日後、雨漏りが発生したとします。買主側からしてみれば、引渡しを受けて間もないから売主の責任で修理をしてくれということになりますが、売主側からしてみれば契約書に「現状有姿」と書いてあるから責任はないと主張することが事例からみて多いようです。 最終的には、雨漏りの原因が生じたのが契約前なのか後なのか、売主は雨漏りすることを知っていたのか否か等の要因を総合的に見て売主の責任を判断することになるかと思いますが、いずれにしろ「現状有姿」という大雑把な表現では後のトラブルに発展する恐れがありますので、契約時に出来るだけ詳細な物件状況の報告を売主又は仲介業者から受けるようにしましょう。